市場の建替えの決定。市場に面した場所で古本屋をひらく著者にとっての影響は甚大。そんな日々がつづられた一冊。しかし、それはただ待っていて、時間が立てばもとに戻るというものではなかった。コロナ禍の影響。仮設市場に移るタイミングで商売をやめてしまう人。仮設市場から新市場へ移るタイミングでやめてしまう人。水上店舗側でも店をやめてしまう人。アーケード内からなくなってしまう銀行と郵便局。アーケードがなくなったことで風雨の影響をもろに受けてしまう苦しさ。それでも商売人の矜持としぶとさをみせてくれる会長や副会長。最後の方まで読んできて、この二つの文にうたれました。場に対する深い宇田さんの愛が感じられて。◆つくるには莫大なお金と手間がかかるけれど、一度つくってしまえば、店主やお客さんも安心して過ごせる。それがアーケードだ。アーケードは愛。(p.93)◆そうか、店を閉めた人にもまた会えるのかもしれない。私が店を開けてさえいれば。(p.105)