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感想・レビュー・書評
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高校の教科書にあったので、再読。
あの頃は単なる学習の一環として読んでいたが、ある程度「年をとったな」と思う年齢になってから読み返すと、自分の中にも「虎」がいたのだと改めて気づかされる。
耳の痛い話である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
能力がありながら、人間関係を重視せず、さらに努力も足りなかったことが理由で、大成できずにトラに落ちぶれた者を描いている。中国が舞台。耳が痛い話である。こういった戒めの話は日本人には受け入れられやすい。しかし、昨今の日本人に必要なのは、むしろ、だまされない警戒心を磨くことだろう。日本人の多くは妨害されてもそのことが見破れない。デマに対する警戒心が薄いからだ。この主人公は大変人間的にも優れていたにもかかわらず、様々なデマと妨害により人間関係が壊された被害者なのかもしれない。特に複数犯による口車を合わせた妨害デマのときは、本人さえ妨害されていることに気づかないこともあるだろう。演出して作られた事実を本当の事実と思わされてしまうケースだ。第三者ならなおさらである。そういった陰謀に対する耐性や警戒心も必要なのだが、それが欠如しているのが日本である。だから、悪人は陰謀し放題。まずばれないのだから。イジメや足の引っ張りが絶えないのもここに大きな理由があるだろう。イジメもまずばれないし、第三者も証拠がないと関わらないのだから、イジメの疑いがあるときにいじめっこに釘を差すという発想さえも出てこない。そういった点をよくよく考えないといけない時期に日本はさしかかっているのだろう。