本の未来 [青空文庫]

著者 :
  • 青空文庫
  • 新字新仮名
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  • 青空文庫 ・電子書籍

感想・レビュー・書評

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  • 先日亡くなられた、富田倫生さんの本。青空文庫版で読みました。本を愛し、本とコンピュータ・ネットワークの融合を見つめ続けた方なんですね。この本で引用されていた「書物の出現」は読んでみたいですね。

  • 2013/8/18読了。著者の訃報を新聞で見て、青空文庫のサイトを覗いたところ、公開されていたので、ダウンロードして読んだ。刊行当初に読み、その後、新品未開封のものも古書店で入手してあるが、著者自身が育てた青空文庫で再読するのがおそらく著者の意にもかなうだろう。
    十年以上前、電子の本の可能性に気付いたごく少数の人たち(僕もその一人だった)が等しく夢見た、本の未来についての思いが語られている。その可能性とは、本を世に問うという行為を資本の手による独占から個人の手へ解放し、表現したい個人を救うという可能性だ。著者自身がまさにそうした小さな電子出版によって救われていく過程も本書には書かれている。
    「電子書籍元年」を何度か経た2013年の現在、電子書籍はやや普及の兆しを見せ始めているが、著者たちが夢見た本の未来はまだまだ遠く、ビジネスとしての可能性以外に可能性としての価値を見出せない人々が舵を取るようになったためにますます遠い。グーテンベルクの活版印刷が発明された当初は手写本の生産の効率化にしか使われなかったと本書の終章にあるが、電子書籍もまだその段階だ。出版ビジネスの具に堕したと著者が嘆くDTPの轍を踏みつつあるようにも見える。
    しかし、本書が残され、青空文庫でシンプルなテキストとして広く公開されたのは、本の未来にとって喜ばしいことだ。著者のご冥福を心からお祈りする。

  • 富田氏の訃報を耳にして、時を同じくして青空文庫で公開されたこのタイトルを一日で読み通した。
    自分の中の電子書籍ブームが始まって何年かが経ち、本格的に電子書籍が商業ベースで軌道に乗り始めている現在となっては、すでに耳にたこができるほど聞かされている内容。技術的な詰めの甘さも見られるこのタイトルを、今さら新しい驚きを持って読むのは正直難しい。
    しかし、15年前に出版されたこの本の内容が、あまりにも現在の「当たり前」と一致していることに、富田氏の慧眼を感じる。本タイトルの執筆後、富田氏の立ち上げた「青空文庫」プロジェクトも含め、日本の電子書籍業界に与えた影響は大きいと感じるだけに、TPPによる著作権論議の盛んなこの時期に、富田氏が亡くなってしまったのは本当に残念としか言いようがない。ご冥福をお祈りします。

  • 富田さんにとっての電子書籍は「電子ガリ版」だったんだと思う。ぼくも高校時代、どこかの部室にあったコピー機で冊子をつくっていたことがあるから、この言葉はすごくしっくりきた。

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