ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2014年11月22日発売)
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何年か前、原作が東野圭吾という事は知らずに映画を観ました。ストーリーはおぼろげにしか覚えていませんでしたが、昔から西田敏行が好きでこの役もピッタリだなと感動した記憶があります。

東野圭吾に出会って、先に映画を観ていたいくつかの作品は全て後回しにしていたのですが、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は避けては通れないだろうと手に取りました。映画で細かい設定が理解できなかったのもあり。

盗み(?)をはたらいた3人組は予め目をつけていた廃屋のナミヤ雑貨店に身を寄せます。第一章は3人組の視点、第二章になると視点がいきなり変わるので早くも裏切られました笑。時系列もバラバラ、色々な人物の話が出てきてそれが繋がっていきます。児童養護施設出身者、関係者と浪矢のだだの感動話で終わらせてくれないのが東野圭吾。

最近、東野圭吾を読んでて感じる事がある。自分みたいな読解力、考察の乏しい読者にもとても楽しませてくれるストーリーや言葉表現の美しさ。反対に鋭く深く読み込む読者にはどうなんだろう、緻密に組み立てられた作品にはきっと話が繋がらない部分、粗がないのではないか。どこまでも無限に広がる世界、”非現実”をさらっと”現実”に感じさせる文章力…

悩み相談に子供の悪戯な物が入れられ、それをとんちで返すエピソードは想像して、「(小学生がふざけて大人をからかうような事って)絶対あるよな」と思って読んでてニヤけてしまった。どの作品にも”現実”と錯覚させる仕掛けが山程あります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年6月26日
読了日 : 2023年6月26日
本棚登録日 : 2023年6月26日

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