トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか

  • 山と渓谷社 (2010年7月23日発売)
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感想 : 57

2009.7.13から4泊5日で登山ツアー会社が「大雪山系縦断コース」を企画し、15人の客と3人のガイドによる山行で8人が死亡した遭難事故を気象学、医学的観点と生存者の証言やツアー会社の在り方を検証する著書。死亡者の殆んどは低体温症によるもので、その原因は台風並の風雨が体温を奪ったことにより、運動生理学的に内臓機能や血流の低下によるとされる。夏山でありながら低体温症に陥る、標高2000m北海道の山であるがためにその恐ろしさを感じる。更にはツアー登山の実態とその問題点も指摘される。ツアー会社とガイドの責任が取り沙汰されたそうだが、山を知らないガイド任せの自立しないツアー客の自己責任もあるように思う。実力にあったツアーの選択とその山行コースの下調べや準備の欠如もひとつの原因かと。しかし、自然相手で特に山は気象の変化が読みづらく変わりやすい。この遭難事件はそうした不運があったことも否めない。いろいろ感じることがあるが、自分も雨の中、雪の中を登った経験をしたが、頂上を極めたときの爽快感は素晴らしく、登山そのものも楽しいものだが、命を掛けてまでとは思ったことはない。近くの山でも出掛けたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年6月13日
読了日 : 2023年6月13日
本棚登録日 : 2023年6月13日

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