泣きかたをわすれていた

著者 :
  • 河出書房新社 (2018年4月9日発売)
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本棚登録 : 178
感想 : 19

 冬子72歳、独身、。私小説とも思えるような物語り。文章も内容もとても優しい本だった。子ども時代から母の介護に到るまでの
50年、築き上げられた母娘の絆は一言では言い表せない、とても深い話である。短い文章であらわされた母の看取りのシーンでは、在宅医療が描かれ、その後、エンヤの「オンリータイム」という曲とが見事にマッチして、泣けてしかたなかった。子どもの頃に知った死の概念をずっともちつつ、72歳の今、知人の何人をも見送って自身の人生に区切りをつけていく。きちんと生きることを感じられる物語。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説 死生観 72歳女性
感想投稿日 : 2021年6月14日
読了日 : 2021年6月13日
本棚登録日 : 2021年6月14日

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