水滸伝 6 風塵の章 (集英社文庫 き 3-49)

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  • 集英社 (2007年3月20日発売)
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感想 : 108
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楊志が死んだことは、読者にも大きな影響を与えることになる。
なぜなら、あれだけ大きなポジションを占めていたというのにあっさり死んでしまったのだから、ほかの人たちだって予断は許さないわけだ。
『ハイカラさんが通る』の紅緒さんが「主人公は死なない」と言っていたが、この群像劇では誰が死ぬこともありというわけだ。

というわけで、宋江。
大丈夫だよね。
彼は全然追い詰められていないけど、彼を守っている、「死ぬために生きている」武松なんかがそのまま死んじゃいそうで、心配でたまらない。

第一巻に登場した時は、人間味のかけらも見せなかった李富が、自分の恋情を正当化するために梁山泊追及の手がゆるくなってしまっている今、降って湧いたような聞煥章の登場。
これは李富の命も風前のともしびか…。

秦明将軍だって、結構ないい年という設定なのに恋ですか?
この話、恋愛がからむとどちらかが、または両方が死ぬよ。
ああ、もう。

官軍にあって、腐敗を断じることを恐れなかった秦明将軍。
自分が清廉であれば、処断されるはずがないと信じて官に留まっていたが、魯達の言動に心を動かされる。
“人は、信で繋がっていなければならない。”
“志があるから、信じられる。それは確かなことです”

物語として大きな動きはなかったけれど、秦明将軍と魯達の会見がひとつの核になるのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年2月23日
読了日 : 2017年2月23日
本棚登録日 : 2017年2月23日

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