眠れる美女 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1967年11月28日発売)
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目次
・眠れる美女
・片腕
・散りぬるを

読む前に耳にした話では「気持ち悪い」というような話を聞いていたのだけど、実際に読んでみたらちょっと違った。
確かに気持ち悪くは、ある。
全裸で眠っているうら若い美女に添い寝するだけの高齢男性。

金にあかせて、若い美女を貸し切って添い寝するだけっていうのは。確かに気持ち悪い。
相手は意識がないのに、こちらだけ冷静に観察できる。
それは気持ち悪いというよりも、生理的に無理。

しかし、江口老人なる語り手は、まだ67歳なのだ。
たった67歳で老人扱いされる江口。
たった67歳で老人の自覚を持つ江口。
これは一体どういうことなのか。

性的にままならないのが67歳ということらしいが、そのほかに社会的存在であるとか、精神的な円熟味とか、何かポジティブな感触がなかったのだろうか。
けれども『眠れる美女』しかり、『片腕』しかり、老いていく自分と若い娘たちとの対比が、この時期の川端康成のテーマだったのかもしれない。

今から50年ほど昔の話。
今なら67歳で人生の終わりと考える人はあまりいないのではないかと思われる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年12月26日
読了日 : 2023年12月26日
本棚登録日 : 2023年12月26日

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