登場する先生たちがいかにもいそうな先生ばかりで、自分の学生時代を懐かしみつつ楽しく読み進められた。そして、湊かなえさんの本にしては珍しく
読後が爽やか。悲惨な事件だが、事件に関わった人の明日が、昨日よりは少し希望を抱かせるものであるからだ。
辞表を提出する新任教師春山杏子に校長はこう言う。
春山先生は、自分がしたことを重く受け止め、同じ生過ちを繰り返さないためにも、教師を続けなければならない。
若い先生と生徒を守り、罰則を受け止めるのは監督者の役目だと言い切る校長が、素敵すぎる。
春山先生は、かっての恋人を思い、校長の言葉は自分が彼に言いたかった言葉だ、と思いを馳せる。
入学式の日。
桜の花が咲くのは人生に一度きりではない。今年さかなくても、来年さかなくても、いつか必ず、花が咲く日がやってくる。と春山先生は自分に語りかける。
春山先生の未来が明るいものでありますように。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年8月31日
- 読了日 : 2021年8月31日
- 本棚登録日 : 2021年8月31日
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