魔の山 下 (新潮文庫 マ 1-3)

  • 新潮社 (1969年3月25日発売)
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主人公ハンス・カストルプの高地国際療養所での周囲との交流と成長を描いた小説、
とあらすじはシンプルだが登場人物たちの議論や言動の濃密さとその影響を受けてハンスが精神的に変化していく様は圧倒的な描写で流石にビルドゥングス・ロマンの大傑作。忘れられない読書体験。人間関係のさまざまな側面、自然、病、科学、政治・経済、宗教、哲学、心霊、文化、遊び…とありとあらゆるテーマが飛び交い、延々と言葉が積み重ねられていく描写は人によっては「退屈」と感じられるのだろうし、長い『魔の山』登山を楽しんでいた私自身でも「一体何を読んでるんだ?」と混乱してくる場面もあったが、多感な青年の成長とは理路整然や首尾一貫よりは混沌としながら進んでいくものだと思うので、そうしたことを読書体験全体としても感じられた。読んでよかった!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 【本】小説
感想投稿日 : 2024年1月19日
読了日 : 2024年1月5日
本棚登録日 : 2024年1月5日

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