林芙美子随筆集 (岩波文庫 緑 169-1)

著者 :
制作 : 武藤康史 
  • 岩波書店 (2003年2月14日発売)
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感想 : 11
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 3冊目。次は何を読もうかと迷ったが、著者のことをもっと知りたいという思いもあり、随筆集を手に取った。
 13歳の女学校の時、鈴木三重吉の「瓦」を読んでいるのを当時の校長に「此様な社会の暗黒街を知るような本を読んではいけない」と咎められた…
この随筆集に散りばめられた、歯に衣着せぬ当時としては斬新な言動の数々(編集者、出版のあり方から、子どもには付録つきの雑誌を与えるのではなく子ども用の岩波文庫のようなものを読ませたい…など)の出発点はすでに女学校の頃から磨かれてきたものなのだということを知ることができ、彼女の生き方に改めて感銘を受けた。
 余談ですが、先日、佐伯祐三氏の作品展を見る機会があり、彼の作品にアトリエのあった「下落合の風景」そして「パリの下町の風景」をモチーフにした絵をたくさん見ることができた。林芙美子氏の生活範囲、行動範囲と重なる部分が多く、不思議な縁を感じるとともに楽しむことができ、ラッキーだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月10日
読了日 : 2023年8月10日
本棚登録日 : 2023年8月10日

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