「レインマンに会うと両足首を切断される。ただし、ミリエルと言う香水をつけていると狙われない」という『噂』が東京渋谷区から発信・伝播する中、女子高生が足首を切られ殺害される事件が立て続けに発生。警視庁の小倉と名島コンビがレインマンこと犯人を追うサイコサスペンス。
初萩原浩作品。
私が小説読書デビュー間もなく本作品を入手、長きにわたり本棚に鎮座していたが、いよいよ機は熟したと今般通読に至った。
久々にスリリングな作品に出逢った。ハラハラドキドキしながら夜通しページをめくり続けた。とても面白かった。著者の名前は存じ上げていたが、このような作品を手掛ける方だったとは恐れ入った。殊能将之のハサミ男を読んだ時と同じ衝撃が走った。
そして何より予備知識無しで読んだことが良かった。
香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターとなる女子高生をスカウト。冒頭の口コミを利用する販売戦略どおり噂は都市伝説化し、香水は大ヒットする。一方、その都市伝説の主人公レインマンによる猟奇的殺戮が始まる。追う警察組織と名コンビ。兎角、登場人物がユニークでキャラ立ちも良いので表情が伝わってくる。
その中でも、口コミ戦略を提唱したコムサイト女社長の説法が印象的だった。
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心って、脳の中の神経細胞のネットワークに流れてる化学物質の量や質のことなのよ。それが身体中のあらゆる器官へ伝えられて、人にしかるべき行動を起こさせる。とってもシンプル。なんだか口コミ情報の伝達方法と似ているわ。
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道徳で学ぶべき【こころ】を科学的に説く。これもあながち間違いではないなと。人間の行動と動機の関係は至ってシンプルなのだと。更に女社長が饒舌に語る情報伝播の分析、仮説から数値的かつ論理的な見解を警察に説くシーンは読み応えがありワクワクした。
また、捜査していく刑事の手法、心理戦など捜査のセンスが印象的なのも見どころだ。特に私は警察小説が好物なので最初から最後まで堪能した。
そして書評にもあったラスト1行の終い方、私も唐突過ぎて1度スルーしたクチだ。2度見して受けた衝撃たるや否や、わや。
しばらくこの余韻は続くのだろう。
まだ本作品を体験されていないミステリ好きの方へ是非ともお薦めしたい作品である。
- 感想投稿日 : 2022年4月24日
- 読了日 : 2022年4月24日
- 本棚登録日 : 2022年4月24日
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