「スナックひばり」を営む身長2メートル超えのマッチョなオカマ・ゴンママが、スポーツジム仲間やスナックバーテンダーの人生観に寄り添い、大事な言葉を小声で捧げるコミカルでハートフルなオムニバス連作短編集。
初森沢明夫作品。
私は、とても、満たされた。
久々に至福度の高い作品と出逢えたことに『ありがとう』と小声ではなく大声で叫びたい。
本作はゴンママを中心に、サラリーマン、漫画家、高校生、歯科医師、社長のジム仲間を含めた6人の視点からそれぞれの人生が語られる。
ある者はひとり娘へエールを送り、ある者は芸術家としての責任を過多に背負い、ある者は紙飛行機で愛を謳い、またある者は亡くした娘を想い、ある者は経営者として従業員を守り、そしてゴンママは突如襲ってくる不安や孤独感に涙し、気を紛らわすかのようにダンベルを上下させる。
それぞれジム仲間であり飲み仲間が抱える苦悩を、ゴンママがユーモアを交えて心ある言葉を贈る。その言葉が登場人物を通して、読者の目を通して、ココロの奥の方までじわじわと侵入してくる。
「一番苦しいときに笑うって、人生の極意なのよ」
「人生に大切なのはね、自分に何が起こったかじゃなくて、起こったことにたいして自分が何をするか、なのよ。」
「いま、この瞬間のことだけを考えて、自分なりに素敵に生きればいいの。いまを素敵に生きれば、未来はその延長上に作られるから、きっと素敵なものになるのよ」
「夢を叶えた瞬間にね、ああ、わたしのこれまでの人生は、今日、この日のためにあったんだって。辛かった過去がキラキラした大切な思い出に変わるの。」
最後はゴンママの苦悩を、過去に自分が放った言葉と愉快な仲間達が救う。
そして読者である私もゴンママの言葉を受け取り、自問する。
苦しいときこそ笑えているだろうか。
起きた出来事と対峙し行動出来ているだろうか。
いまを素敵に過ごせているだろうか。
辛い過去を大切な思い出に変えられているだろうか。
私にとって、ひととの繋がり一番大事。
今までそれなりに経験を積み重ねてきて、時に寄り道をしながらも、至極自然とその答えへたどり着いたように思う。
ひとから得られるものは、お金で得らるものより何百倍、何万倍もの価値があるし、今までも間違いなくそうだった。
私にとっては、ひととの繋がりを大事にすることが、それぞれの自問を果たせるであろうと、読後に導き出された自答であった。
別段、私ごとを小声でささやく。
今秋に、とある資格試験を受検する。
目的は特化した知識知見の習得と、肩書きとなるエビデンス取得のためだ。前回の合格率が20%を切る超難関である。不器用な私は学業一点集中型で挑まないと、到底合格は不可能であるとの判断に至った。
ブクログをはじめて715日目、通読・視聴作も250作品目という節目で、大好きな小説読書と大好きなブクログを一旦お休みする。
悔いなく受検を終えたらまた読書を、そしてブクログを再開したいと思う。ここは私にとって、大切なひとたちと繋がることが出来る大事な場なので、また皆さんと再会出来ることを愉しみに、とことん頑張ります。目標は圧倒的合格です。
皆さんがこれからも感情を揺さぶってくれるであろう作品たちと、たくさんたくさん出会えますように。
2022.07.18
akodam
- 感想投稿日 : 2022年7月18日
- 読了日 : 2022年7月18日
- 本棚登録日 : 2022年7月18日
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