山本五十六(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1973年3月1日発売)
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「阿川弘之」が「山本五十六」を描いた伝記『山本五十六〈上〉〈下〉』を読みました。

『国を思うて何が悪い ~一自由主義者の憤慨録~』に続き、「阿川弘之」追悼読書です。

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〈上〉
対米戦争に、日独伊三国同盟に反対した軍人。
聯合艦隊司令長官の若き日の活躍を描いた傑作伝記。

戦争に反対しながら、自ら対米戦争の火蓋を切らねばならなかった聯合艦隊司令官「山本五十六」。
今日なお人々の胸中に鮮烈な印象をとどめる、日本海軍史上最大の提督の赤裸々な人間像を余すところなく描いた著者畢生の力作。
本書は、初版刊行後、更に調査し、発見した未公開資料に基づき加筆された新版である。
上巻では、ロンドン軍縮会議での活躍を中心に、若き日の「山本」像が描かれる。

〈下〉
かつて戦争に反対した男は、戦争を始めた。
詳細な資料から浮び上がる軍神と呼ばれた男の壮絶な人生。

下巻では、聯合艦隊司令長官に任命された「山本五十六」が、いよいよ真珠湾強襲の構想を固めるところから、昭和18年4月18日、ブーゲンビル島上空において敵機の襲撃を受け壮絶な最期を遂げるまでを克明に綴る。
世界を震撼させた天才提督の栄光と悲劇を、膨大な資料と存命者の口述を基に、生き生きと甦らせ、激動の昭和史を浮彫りにした、必読の記録文学である。
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海軍提督三部作の第一作、、、

存命者への聞き取りにより「山本五十六」の人間像が丹念に描かれています… 読んでいると「山本五十六」の人となりがわかり、「山本五十六」の魅力が強く感じられるようになりましたね。


「山本五十六」に関する作品は、約2年前に読了した「半藤一利」の著書『聯合艦隊司令長官 山本五十六』以来ですが、、、

本作品では、日独伊三国同盟や日米開戦に反対するが、ひとたび戦争が始まってしまえば聯合艦隊司令官として最善を尽くし、義務に殉じて死んでいく… という良く知られている軍人としての一面の他に博打好きな一面や女性関係等の私生活の奥まで立ち入った面も含めてリアルに描かれているので、『聯合艦隊司令長官 山本五十六』よりもリアルな人間「山本五十六」を知ることができました… そんな内容なので、出版当初(本作の旧篇)は、遺族からの抗議もあったようです。
(新篇は旧篇から300枚もの補筆があったらしいので、もう少し違う一面も描かれていたのかもしれませんが… )


ブーゲンビリアでの撃墜されたあと、ジャングルの中で二式陸攻の残骸の近くで発見された遺体は、席に座したままで顔や軍服がキレイな状態の遺体だったとのこと、、、

まるで考え事をでもしているような端麗な姿だったとか… 他の遺体は焼けていたり、死顔が腫れ上がってむくんでいたらしいので、不思議ですね。



本作を読んで「山本五十六」よりも、冷静に世界を見つめることができていたと思われる「井上成美」のことが気になりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>ルポルタージュ/ノンフィクション/対談
感想投稿日 : 2022年8月27日
読了日 : 2015年9月7日
本棚登録日 : 2022年3月11日

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