天才児だった少年ハンスが、栄光と挫折を味わうヘッセの自伝的小説。子どもらしい遊びを二の次にして、周囲の期待に応えるため勉強に勤しむ主人公。そんなハンスは環境の変化や心の成長とともに、大切な何かを取り戻すべく、情熱を燃やしつづけた学問の世界に対して執着が薄れていく。しかし、功名心や優越感などをいったん脱ぎ捨てると、紙切れ一枚のような自分がいて、ひとりでしっかり立つこともできない。何者にもなれずもがき苦しむハンスの姿に、共感できる部分は非常に多かった。自分を懐古するような心に残る作品である。
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- 感想投稿日 : 2021年4月28日
- 読了日 : 2021年4月28日
- 本棚登録日 : 2021年4月28日
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