小松左京『日本沈没(下)』角川文庫。
下巻。瀕死の日本に残された時間は僅か10カ月。田所博士の最悪のシナリオに従い、日本政府が動き出すが……
何十年か振りで読み返すと、改めて違うことが見えてくる。本作では自然の猛威による天災の恐怖が描かれると同時に日本政府の危機管理のあり方も描かれている。
世界をパンデミックの渦に巻き込んでいる新型コロナウイルス感染症では日本政府の危機管理の甘さ、未熟さを露呈した。さらに困ったのは日本政府が国民の命や安全よりインバウンドによる経済効果と東京オリンピック開催を選択したことだ。
こうした脅威を前にした時、瞬時に何を最優先にし、何をすべきか決断することが危機管理能力と政治的判断力なのだろう。少なくとも本作に描かれる日本政府は日本という国を残すために大きな決断を行い、極秘裏にあらゆる手を使い、行動している。
タイトル通り果たして『日本沈没』が現実となるかは本作を読んでのお楽しみ。
本体価格600円
★★★★★
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2020年5月6日
- 読了日 : 2020年5月6日
- 本棚登録日 : 2020年5月5日
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