坊っちゃん (岩波文庫 緑 10-3)

著者 :
  • 岩波書店 (1989年5月1日発売)
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なんで今更「坊っちゃん」であるか?

私は通勤の際、iPod でPODCASTを聞いている。
その番組の中に「ラジオ版 学問のすすめ」ってのがあって、先日のゲストは作家・評論家の関川夏央であった。
正岡子規の話が中心だったけど、同時期を生きた作家の中に夏目漱石も居る。
明治時代、文学で生計をたてられる人なんてそう多くはないので、作家連中は自然と集まり交流があったんだそうだ。

今、壊滅的な状況にある政局の中で必要なのはリーダーであり、エリートが育たない時代だ。
現総理の次は誰がよいかなんて、誰がなっても大同小異であろう事は誰もがそう思ってるだろう。

しかし、正岡子規達が生きた時代、帝国大学(現東京大学)を卒業するような人間は日本を代表するリーダーでエリートである。
夏目漱石もその一人。
そんな作家が書く、「坊っちゃん」とは如何なものか。
ゲストの話の中で、
「坊っちゃんが四国の学校に赴任した期間は、どのくらいか解る?」
とか
「宿屋の女中に5円をやってるけど、今だとどのくらいの価値か解る?」
とかの話があった。

期間はたかだか、1ヶ月ちょっとである。
5円は1ヶ月の給料分である。
坊っちゃんは世間知らずの負け組なのだ。
そんな負け組の(勝ち組は赤シャツか)坊っちゃんを書く夏目漱石とはどのような人物であったのか。
まあ、そういう話。

私は、「坊っちゃん」なんて読んだ気になっているだけで、実は読んでいないかもしれない。
だから、上記のような問いには答えられないし、例え読んだとしても、その時代背景も解っていない子供の時分であれば文脈が理解が出来ていないだろうと思って、今頃、「坊っちゃん」なんて読んでみたわけである。

今、政局に「坊っちゃん」のような事が書ける赤シャツが必要だなと思った次第。

さて、この手の文学作品は既に著作権が切れていて、色んなメーカーから文庫が売られている。
さらに、インターネットであれば、全文無料で読むことができる。
私は、「青空文庫」で読んだ。
暇なお昼休みは、ここがイイかもね。
昼休みと言えども、そんな時間はあまりないんだけどさ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年5月1日
読了日 : 2011年6月16日
本棚登録日 : 2011年6月16日

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