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貧しいアパート暮らしや新宿渋谷で観た数々の映画の記憶など、自らの半生を重ねながら移り変わる東京の姿を証言するそのベースには無残に町を破壊していく者達への強い憤りがある。最初に出版された84年当時はバブル前夜であり、地上げによる町の変貌はもう少し後のことになるが著者はこの時点ですでに町の景観に嫌悪感を抱いている。東京の東側、下町から西側の山の手に移り住んだ者の後ろめたさのようなものも感じさせる。同じ下町育ちの荒木経惟の写真はとかくバブリィと一口で片付けられそうな80年代も、その前半はまだ風景に「貧しさ」が残っていることを証言する貴重なもの。新宿南口のガード下三角地帯など、どこかのんびりした。8年後に就床を付け加えたときの著者の心境を想像すると痛々しい。
※1992「新版・私説東京繁盛記」改題
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2003
- 感想投稿日 : 2013年5月4日
- 読了日 : 2003年1月28日
- 本棚登録日 : 2013年5月4日
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