面白いなぁ。
津村記久子さんの本は最近読み始めたばかりだけれど、今のところハズレがない。
とても好み。
時間が経って忘れつつあるけれど、本作は表題の"ワーカーズ・ダイジェスト"と"オノウエさんの不在"の二作が収録されている。
ワーカーズ・ダイジェストは、同じ生年月日の佐藤という男女が出会う物語。
ちょうど最近、夫婦同姓が行きつく500年後の未来は日本人全員佐藤さんという話を聞いて、なんだかタイムリーな感じもした。
食べ物がやたら美味しそうだったなぁ。
あとは、仕事で関わる人との地味なんだけどものすごい大きいストレスを感じる描写がリアルで、読んでいるこちらまで胃がキリキリしてきたことを覚えている。
小説の中に出てくる女性同士の友人関係にあまり共感したことがなかったのだけれど、今まだ読んだ本の中で一番私と私の友達のやりとりに似ていてぐっと主人公との距離が近づいた気がして嬉しかった。(クリロナが出てくるたびに、イケメン、イケメンと義務的に冷やかすところ)
終わり方が結構不意打ちで、もうあとほんの少しだけ先の展開を知りたかったとは感じた。
オノウエさんの不在は、最後までオノウエさんが出てこないまま、彼に対する周囲の反応や扱われ方でオノウエさんの人となりがだんだんわかってくる展開。
学閥には属さない分、仕事で実力を示しある程度上まで上り詰めた、学閥外の後輩たちの希望の星であるオノウエさんはなぜ重役を外されるのか、みたいなお話だった記憶。
こちらは、前作と異なりとても満足感のある素晴らしい終わり方だった。
- 感想投稿日 : 2024年4月6日
- 読了日 : 2024年3月25日
- 本棚登録日 : 2024年3月25日
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