新装版 限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2009年4月15日発売)
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村上龍(1952~)
本作は1976年の芥川賞でデビュー作で代表作。
その年の群像新人文学賞も受賞しており、芥川賞受賞前からマスコミに大いに取りあげられ話題になっていた。
芥川賞史上最高部数の売上を記録するベストセラー。


林真理子の名作読本から選んだ。

薄い本なのだけれど長い。
内容に比して長い。長く感じる。

虫をたたきつぶすとぐちゃっとなる。
人間をつぶすともっとぐちゃぐちゃ出てくる。
それらが、一読でパッと目に浮かぶ表現で描かれる。
素直に感嘆したいのに、気持ち悪さがまさる。
あえて字面だけを追った箇所が多々。
主人公リュウの目が意思のないレンズのような役割をしているのだが、もっと他のことにも目を向けてくれと思わずにいられない。

リュウが怯える黒い鳥は、法律や道徳、常識のようなものか。
わたしにとってそれは わたしを守ってくれて、希望や未来につながるものと感じるが、リュウ(米軍基地、治外法権にある人間)にとっては自分を支配するものにしか見えないのかもしれない。
見ようとしなければ気づきもしないし、気づいても邪魔としか思わない人間もいる。

「限りなく透明に近いブルーでありたい」とは、とにかく表現者でありたいという訴えと解釈。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本現代
感想投稿日 : 2024年3月20日
読了日 : 2024年3月17日
本棚登録日 : 2024年3月17日

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