アサイラム・ピース

  • 国書刊行会 (2013年1月22日発売)
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感想 : 64
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アンナ・カヴァンの作品集。短編と、連作短編「アサイラム・ピース」を収録。

著者本人の長らく精神的不調を抱え生きてきた人生も相まって、痛々しく苦しい物語である。調子が悪く自責の念、自己嫌悪が高まったまま眠った時に見る夢のような…痛みを抱えた自分を理解してほしいという感情と、客観的に見れば自分は人に対して充分に応えられない、悪であるという自己嫌悪を見せつけられているような。
アサイラム・ピースも「ここを出てしまえば普段通りに戻れる」「…本当に、前のように戻れるのか?」「家族がきっと迎えに来てくれる」「クリニック」で過ごす患者達の悲痛な思い、そして外に出て見える、同情だけでは退院させる事は出来ない状態。
患者達の苦痛も、その家族の苛立ちや苦悩も理解出来るだけにとても気が重くなる。

しかし、それだけの「痛み」を描き出した著者の筆力と内面に惹かれる

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 図書館本
感想投稿日 : 2023年8月18日
読了日 : 2023年8月18日
本棚登録日 : 2023年8月18日

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