スマホ脳 (新潮新書)

  • 新潮社 (2020年11月18日発売)
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人間の脳は狩猟時代から本質的に変わっていません。脳は干ばつや疫病に対処するようにできているけど癌や糖尿病に対処するようにはできていません。飢餓の大体が克服できたのが200年前だからです。三大疾病など現代病の多くは飽食というかつてなかった状況から現れています。
同様に脳はスマホに適応できるようになっていないと本書ではいうのです。
このように狩猟時代から遡っていかにスマホという革新的なアイテムに人間が適応できていないか、依存の度合いを深めているか数々のエビデンスが示されています。
例えば、SNSに溺れている人の中には自己肯定感が低く、孤独な生活を送っている人が相当数いる。スマホを使い続けるとうつや睡眠障害を呈する。など、世界中の数々の研究成果からやはりそうだったのかと思える結果を示してくれています。
SNSは周囲の人との関係を維持するために活用すべきものであって、SNSで優れて社交的になれるわけではないともあります。やはり、顔と顔を付き合わせてコミュニケーションすることにはるかに及びません。(これ程時間と距離がゼロになるアイテムがあるのに『孤独』が社会問題となっているのは皮肉なことです。)
また、適度な運動がデトックスになるともあります。
本書では電子書籍もスマホと同じスクリーンと脳が判別するため睡眠障害に繋がるとあります
電子書籍より紙の本の方が内容を覚えやすいとありました。いまではハイライト機能や検索がかけられるため、電子書籍の方がどうしたって内容が入っていきやすいと思うのですが。電子書籍、私は重宝しています。因みに本書から3年後、川島隆太の「オンライン脳」では読書がデジタルのデトックスになるとあります。紙か電子書籍かは明示されていませんが。
この、スマホを作ったスティーブジョブズやビル・ゲイツも子どもに扱わせる際にかなりの制限を課しました。人と人との温かな交流や体験が大切であることを理解していたからだと言われています。
やはり、テクノロジーに支配されるのでなく、テクノロジーが私たちに合わせて産み出されていく必要があるのではないでしょうか。
2023年東北大学の研究では、スマホを使い続けると、脳が成長をとめてしまうとあります。中毒性はドラッグ並みだとも言われています。
現在の技術も5年たつと陳腐化してしまいます。
きっとこの先の5年、10年で劇的に生活が変わることでしょう。
この本は今、付箋の山と化しています。繰り返し読みたいですし、これからどう進展し本書の鳴らす警鐘が現実のものとなるのか注視したいと思います。



読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年5月30日
読了日 : 2023年5月30日
本棚登録日 : 2023年5月28日

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