東野圭吾さんの超大作。この間読み終えた「白夜行」の続編。
この「白夜行」と「幻夜」を連続して読んでみて「白夜行」で雪穂という女性を自分なりに結論付けていたのだが、今作品の「幻夜」では新たに明らかになる事が多く、筋として幾分読み取り間違えしていたのかも?と感じた。
まず美冬の心情は今回も描かれてはいない。しかし今作品では雅也目線からしっかりと美冬の人物像が読み取れる。自分本位でエゴイスティックな人物として。
「白夜行」では雪穂と亮司の2人の本質や本性は伏せられていた。あくまでも読者の想像の域だったのだが、「幻夜」では明らかに違うものになっている。
そういう心情的な所の「白夜行」のアンサーとしての作品ならば亮司もまた利用されただけの男だったのかもしれないのかも?と感じた。もしそう読み取るのならば雪穂は最初から相当の悪女だったということか。
また違う目線で考えてみれば、亮司が死んだことにより雪穂は違う人生違う人格を再確立しなければ生きていけなかったのかもしれない。多くの過去の悪事の山々のうえにある亮司のいない自分だけ生き残った世界では幸せとは不釣り合いなのだろう。だからより深い悪に身をそめるしかなかったのか?とも考えられる。美冬となり自分の生へのモチベーションのためだけに悪女と化した。
美冬は雪穂なのだと思う。ならば一変した雪穂が「幻夜」では存在していた。タイトルで読み取れば「白夜行」では生きている感覚を持っている状態が、亮司の死後は全てが幻の夜の中ということか?だが幻の夜には限りはあるのだろうか?
そう読み取れば悲しすぎる。
今思う共通する感想としてはそれだけ亮司の存在が雪穂にとって重たいものだったのだろうと信じたい。
2作通じて深さにはまり込んだ。
自分なりの答えも見つからないままだが、だからこそ面白いと思う。
これから皆様のレビューを見てみてまた考えてみたい。
そういう意味では未完のミステリーなのかもしれないと感じてる。
- 感想投稿日 : 2023年10月13日
- 読了日 : 2023年10月13日
- 本棚登録日 : 2023年9月26日
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