オー・ヘンリー傑作集1 賢者の贈り物 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2020年11月21日発売)
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感想 : 16
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オー・ヘンリーの作品の特徴は、ユーモアと皮肉が入り交じり、最後にどんでん返しかある作品が多いかな。
結果「心あたたまる」作品だけでなく、残酷といったことばで評したほうがよい結末のものが多いことになるが、どれも人間観察の鋭さと深さゆえに、豊かな人間味を味わえる。

・警官と賛美歌 貧しさ故、寝るところも食べるものもないため、犯罪をして留置所に入りたいといろいろ手をつくすが…
・賢者の贈り物 代表作と言われるだけあって、印象深く読めた。貧しい夫婦のお互いを思いやる愛を描くが、甘い雰囲気はなく、少し突き放したところがあり、どことなく照れたような作者の視線が感じられる作品だ。
・忙しい株式仲買人のロマンス 忙しさで昨日結婚したことも忘れて、またプロポーズする、シュールな笑いを誘う
・洒落男の失敗 見栄を張って金持ちの振りをして、女性を口説こうとするが…描かれるのは虚飾の愚かさか
・御者台から 馬車の御者が乗せた無銭の客は、こともあろうに…驚きの結末
・第九十九分署の外交方針 日露戦争の話題が出てきて、否が応でも興味をひく
・金のかかる恋人 金持ちがデパートガールを口説く。世界的に有名な場所を挙げるが、姫路市の太陽公園みたいな場所だと勘違いされるという落ち
・桃源郷のはかなき客 これも普通の人が、目一杯背伸びをする話
・ハーグレイヴズのふたつの顔 これもどんでん返し。演技で気付かれないようにお礼をする
・アイキー・シェーンスタインの惚れ薬 惚れ薬を処方して恋敵を陥れようとするが…
・富の神とキューピッド  大金をかけて息子の恋を叶える
・緑のドア 不思議な恋の運命を物語る
・マックの救出代 年がいもなく恋に狂った(と勘違いした)友人のマックを救おうと大金を使うが…
・振り子 空気のようになった突然妻がいなくなると、夫は狼狽してしまうものだが、再び現れると…
・自動車を待たせて 金持ちの振りをする女性に声をかけてくれた男性。しかし彼のつまらない職業を聞くと態度を変えるが、実はその男性は大金持ちと言う落ち
・春の献 珍しいハッピーエンド

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月1日
読了日 : 2024年1月1日
本棚登録日 : 2024年1月1日

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