瀬戸内晴美時代の六篇からなる短編集。
「いろ」
長唄などの師匠・るいと31歳下の弟子・銀二郎との話。
読み進めるうちに、るいは玉三郎に重なる。顔の右半面は火傷でただれているが、色白で顔立ちだけでなく所作も美しく、どんなに歳を取り弱っていっても凛とした振る舞いをし、ただただ銀二郎のことを愛していた。そして、亡き後も銀二郎に愛されていた。
「聖衣」
電車に乗り、死の際に立つ不倫相手とのこれまでのことを思い返し、もうすでに亡くなってるかもしれないと思いながら、病院へ向かうけい子。
目の前に立った外人の尼僧の黒白の聖衣に秘される緋色の帯は何を言わんとしているのか。
「花芯」
園子は申し分の無い雨宮という夫がいながら、夫の上司である越智に一目で心を鷲掴みにされる。そんな越智に対して貞淑であろうとするかのように夫との関係を拒むようになる。越智には関係を持つ未亡人がいて、一緒になる事はできないと分かっているのに、夫の元からも去る。園子はなんて自分に正直で強い女性なんだろう。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2022年11月21日
- 読了日 : 2022年11月21日
- 本棚登録日 : 2022年10月28日
みんなの感想をみる