R.P.G. (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2001年8月21日発売)
3.21
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本棚登録 : 10620
感想 : 844
4

R.P.G

社会性★★★★★
展開 ★★★
よみやすさ★★★★★

【購読動機】
宮部みゆきさん。「火車」に圧倒されました。その印象が強く期待をして購読です。

【総評】
「火車」同様に社会性を反映した作品でした。今回のテーマは「家族」「居場所」です。
登場人物は少なく、関係性も単純です。したがって、読みやすいです。その一方で、複雑ではないため、展開を想起しやすく、事件の犯人も目星がつきやすいです。
ミステリー小説というよりも、問題提起小説といえましょうか・・・。

【物語】
2つの殺人事件が発生します。
1;女子大生
2;世帯主。会社員。
2つの殺人事件には「接点」がありました。それは、1の女性が2が勤める会社のモニターアルバイトであったことです。
警察が調べていくうちに2;には、多少の秘密があることがわかりました。
それは、ネット、そうリアルと別の世界に「家族」が存在していたことです。
その世界には、妻、長男、そして長女がいたのでした。

【展開】
事件には、必ず「動機」が存在します。物語が複雑になるときは、大抵この動機が「複雑」「巧妙」です。読者側が想像をするに時間を要します。
この小説「R.P.G」は逆です。犯人の動機はシンプルです。

【読み終えて】
キーワードは「家族」「居場所」です。
メディアは、大阪・東京の繁華街で、自宅に帰らず時間をすごす未成年の姿を報じることがあります。彼らの今の居場所は「繁華街」です。
事象は結果です。その裏側には、ひとりひとりの「物語」(結果につながるきっかけ)があるはずです。
この小説「R.P.G」を読み終えて、その光景がまぶたに浮かぶのでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年9月3日
読了日 : 2023年9月3日
本棚登録日 : 2023年9月3日

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