私は私が誰なのかわからない。
だから誰かに支配されると安心する。
女は男に支配され、婦人は女に支配され、男は婦人に支配される。またそれは常に簡単に逆転する。
母と娘の共依存と、そこにいる異物である男の存在。
だからこそ婦人から依存される女を嫉妬し支配しながら、婦人への愛憎が募る。
婦人なのか、女なのか、末っ子なのか自分が誰なのかわからなくなるし、
男なのか、娘の愛人なのか、女の婚約者なのかわからなくなる。
自分のことも相手のことも、自分が誰でで誰と向き合っているのかさえもわからない。
匿名になった途端にわからなくなるくらい、アイデンティティなんてそれくらい曖昧なものなのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2020年6月10日
- 読了日 : 2020年6月9日
- 本棚登録日 : 2020年6月9日
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