犬の力 下 (角川文庫 ウ 16-5)

  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年8月25日発売)
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感想 : 142
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果たして「犬の力」ってどういうこっちゃ?と思っていたら訳者の東江一紀さんがあとがきに詳しい解説を載せてくれていました
ただもともとは旧約聖書に出てくる言葉のようなのでその意味というよりは東江さんなりの解釈といったほうが近いようです
もちろんなるほどと思わせる内容なんですが読書新自由主義を標榜する私としてはあえてちょっとひねくれた独自の解釈をしてみました
模範解答なんかクソ喰らえなんだよ!
ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン!(なんかメキシコっぽいこと言ってみたかっただけ!)

まずは作中にも名前が登場するケルベロス、言わずとしれた「地獄の番犬」です
東江さんの解釈では特別関係がないとしていますがやはり『犬の力』と題したこの長編に名前が登場する以上なんの意図もなく登場させたとは考えにくく何かしらの意味があるはずです

ケルベロスといえば冥界の王ハーデスに仕え冥界から逃げ出そうとする者を捕えるのがその役目です
そしてそれはまさに正義の実践者です
もちろんここでの正義は冥界の正義です

正義とは見る者使う者によって簡単に姿を変えます
またある者の正義は別のある者にとっては全く正反対の意味を持つこともあるでしょう
麻薬捜査官の正義、麻薬王の正義、殺し屋の正義、売春婦の正義
「犬の力」とはころころと形を変える残酷で愚劣な「正義の力」だっのでは?
そんな風に思うのです

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ドン・ウィンズロウ
感想投稿日 : 2022年5月18日
読了日 : 2022年5月16日
本棚登録日 : 2022年5月12日

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