今後の大活劇に向けて静かに時を重ねる第四の巻です
こういった大長編では仕込みの回ともいえる落ち着いた巻が必ずあるんですが、そんなんも超面白い『北方水滸伝』でございますよ
これまでも何度か書いてるんですが、面白いヒロイックファンタジーを産み出すには、いかに魅力的な敵を生み出せるかにかかっていると思うんです
え?『水滸伝』てヒロイックファンタジーだったの?っていうのは今いいじゃない
今いいじゃないそれは
で、この『北方水滸伝』はめちゃくちゃ魅力的な李富という敵を生み出しています(もちろんアニキの創作キャラ)
いやもうこの李富がさ、ちょっと油断すると好きになっちゃいそうなのよ
もう悩みまくりで、そんで愛情深くてつか愛に溺れて、要するにめちゃくちゃ「人」なのよ
そして彼なり志を持ってるの
そんで梁山泊と対峙するわけ、もちろんかなり悪どいことしてくるんだけどさ、やっぱり官軍てこともあって自分たちこそ「正義」だと思ってるし、彼らなりに国や民のことも考えてるわけ
つまり「正義」対「正義」の闘いなのよ
どっちも「正義」であるがゆえに、そこからいろんな悲劇が生まれるのよね
そして官軍側もこれからまだまだ魅力的な人物が出てきそうで楽しみ
物語はさらに不穏な空気をまといつつ次巻へ!
はい一〇八星ぜんぜん違うやん!のコーナー!
今回は第八十八位の好漢、地弧星の金銭豹子(きんせんひょうし)湯隆です
『北方水滸伝』では鍛冶屋一本ですが、オリジナルでは鍛冶屋兼軍人で武術に優れていて戦場でも活躍しています
オリジナルでは博打にはまって落ちぶれていますが、『北方水滸伝』では愚直で手を抜くということを考えたこともない職人で全く正反対です
また、梁山泊入のきっかけは李逵と義兄弟になったことですが、こちらではまだ出会ってもいない状態で、最初から梁山泊にいます
今後二人は仲良くなるのかも見どころかもしれませんね
それにしても北方謙三アニキは戦わない人たちの描き方が本当にうまい
- 感想投稿日 : 2023年9月7日
- 読了日 : 2023年9月6日
- 本棚登録日 : 2023年9月5日
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