罪と罰 (3) (光文社古典新訳文庫 Aト 1-9)

  • 光文社 (2009年7月9日発売)
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本棚登録 : 1436
感想 : 145
5

面白かったなー!

分からないところもあった
率直に言ってたくさんあった
でも面白かった、かなり面白かった
どうせ難しいだろう、理解できないだろうという思い込みで世界を閉じずに、これからも色んな古典に挑戦していきたいと思いました
改めて目を見開かせられた転機の一冊になりそうですね
日本の古典も読み直したいと思いました
夏目漱石とかね

さてドストエフスキーに話しを戻して自分なりの解釈というかそんなんを書き綴ってみたいと思います
なんかてんで見当違いなことを言うかもしれませんが、多くの研究がされつくしているこの名著に果敢に挑むど素人の姿勢を評価してほしい
今は甘やかす時代なのです
またこの先幾ばくかのネタバレも含まれておりますが、この世界的古典の名作にネタバレもないよなという思いからこのまま行きます

やはり『罪と罰』ですから、何が罪で何が罰かってところだと思うんですね

まずは裏の主人公とも言えるスヴィドリガイロフですが、なんとなく妖しい、女たらしで主人公の妹ドゥーニャにしつこくつきまとい、妻を殺した疑われていますが、実はこの人確定的な「罪」は 何ひとつ語られていないんですね
しかもピストル自殺の直前には娼婦のソーニャとみなしごとなったソーニャの妹弟にお金を渡すという善行も行っており、ラスコーリニコフの「罪」についても結局告発せずに死んでいきます

実は善人だったのでは?なんて陳腐なことを言いたいのではありません
めっちゃ悪人だったのだと思います
事実偶然知ったラスコーリニコフの「罪」を利用してドゥーニャを脅したりしてますからね

だけど悪人であることを自覚しつつも、そんな自分に 嫌気がさしていたんじゃないでしょうか
生まれ変わりたいと心のどこかで思っているのに自分ではどうしようもなく同じことを繰り返してしまう
どうしていいか分からなくなったときに純潔なドゥーニャと結ばれることが自分の「再生」の道と信じたのではないでしょうか
そしてドゥーニャに はっきりと拒絶されたことで自分の思う「再生」の道が絶たれたと絶望したのではないか
そして自分の生き方に「罰」を与えたのではないでしょうか

そして主人公ラスコーリニコフです
物語の最後まで定まらず、思考も評価も大きく振れまくります
彼の「罪」とは何だったのでしょうか
もちろん2人の女性を非常に身勝手な理由で殺害したことは大きな「罪」ですが、ドストエフスキーが彼に背負わせたかった「罪」はそれだけだったのでしょうか?
自分は 「人間」そのものを代表させたかったのではないかと思うのです

人間というのはとても謎の多い種だと思うんですよね
人間の持つ身勝手さというか、揺れまくる思考とか、あととんでもなく残酷なことを正義と信じこんで実行しちゃうところとか
もういろんな、なんでそうなるの?って同じ種でもてんで分からんし、言ったら自分のこともよく分からんし

人の持つ罪深さというか、不安定さみたいなんをラスコーリニコフに背負わせたかったんかなぁと思いました

では、「罰」は?

それはもうずばり「愛」だと思うんですよね
「本当の愛を知る」瞬間が「罪」を犯した後のラスコーリニコフの身に訪れることは、とんでもなく残酷な「罰」だと思うのです
このことが真の意味での「罰」に気付き、自身がいかに身勝手な存在だったかを突きつけられ、そこに「後悔」が生まれます
なぜあんなことをしてしまったのか、あんなことさえしなければもっと彼女と一緒にいられたのに、彼女を苦しめることもなかったのにと

そして「再生」を目指す彼の新たな人生は、これまでの反省もせず、まわりを見下したままの人生に比べればそうとう苦難な道のりになるはずです
今までの自分を全否定するところから始めねばなりません
でもその道を進んだ先にしかソーニャと添い遂げる未来はないのです
それに気付くことが「罰」なのですきっと

やっぱ愛だぜ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ドストエフスキー
感想投稿日 : 2023年3月2日
読了日 : 2023年2月16日
本棚登録日 : 2023年2月15日

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コメント 2件

土瓶さんのコメント
2023/03/02

なんだかんだ言っても読み切れたのは凄いね。
もちろん尊敬はしないけど。
おめでとう^^

最後に愛は勝つ~♪

ひまわりめろんさんのコメント
2023/03/18

いや、真面目な話
新訳めちゃ読みやすかったのよ
挫折しちゃった人は新訳で是非トライしてほしい

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