1954年長崎生まれ、イギリス育ちの筆者による終戦直後の長崎の物語。
そういえばこういうほわっとはじまって特に劇的な盛り上がりもなく(それを描くのが主眼ではない)ほわっと終わる話は久しぶりに読んだ。
池澤夏樹の解説がよかった。
「人間は互いに了解不可能である」という前提から発しながらも、ずれた会話をプロットの中心に据え、人間のありようを書き出しているという指摘。
その会話に登場人物の属性をうまく表現した訳。
さらにその人間性が原文でも失われておらず、それによって日本女を描くのではなくそれを超えた普遍的な人間の心の動きを書いているという指摘。
そういうものだと考えながら読むと、もっと面白く読めたのだろう。
読書状況:読み終わった
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楽しいどくしょ
- 感想投稿日 : 2013年1月13日
- 読了日 : 2012年12月29日
- 本棚登録日 : 2013年1月13日
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