ある晴れた夏の朝

著者 :
  • 偕成社 (2018年7月13日発売)
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題名にある「ある晴れた夏の朝」とは、
1945年8月 広島 長崎 に原子爆弾
が、投下された日の朝。

アメリカに住む、中高生8人が、
日本へ投下した原爆の是非を、
肯定派と否定派、に別れ勝敗を掛けて、
公開討論会を行う。

両派の述べる論点 例えば

°人種差別
°日本とナチスドイツは同盟国
°日本の中国南京大虐殺
°日本人アメリカ移民がヨーロッパでドイツ兵と戦った経緯

などなど多方面から、論じられる。

そして、日本の教科書では、原爆投下を
肯定している…と。

さらに、広島平和記念公園の慰霊碑には

安らかに
過ちは
繰り返しませんから

と書かれている。
これは、原爆を肯定して、日本人が反省しているのだと。

否定派のメイは、母は日本人、父はアイルランド系アメリカ人。
母に、慰霊碑の文章の英語と日本語訳を見せる。
母 曰く
「過ちは繰り返しません」
と言っているのはね、
日本人が…と言うような狭い意味ではない。
「われわれ人類は過ちを繰り返しません」
と言っている、と説明する!

主語はないの? とメイ。

日本語は 英語と違い 主語が無くても
文章が書けるの!
日本語は、そういう風に出来ているよ。

あぁ、確かに、そうだった。

アメリカの中高生達にとって、公開討論会などの機会は容易に作れるものなのだろうか?
一つの事柄を徹底的に考え、話し合い、仲間と共にしらべる。
この時期、人間としてどれ程成長できるだろう!
そして、人々の前で、自分の主張が 最も効果的と思える方法を考えながら、発表する機会を持つ事は、何と素敵なんだ!

私は、何も知らないのだなあ、と思う。
戦争の事も、歴史も、何も分かっていない。

ただ、戦争というのは、戦っている
どちらにとっても、残酷である。
「敵討ち」 を繰り返していたら、
人類など、地球など、すぐになくなってしまう。

さてさてさんの感想を拝読して、
いつかは読みたい中の一冊でした。
本当に出会えて良かった本でした。
ありがとうございました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年7月19日
読了日 : 2022年7月18日
本棚登録日 : 2022年7月18日

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コメント 2件

さてさてさんのコメント
2022/07/19

basilさん、こんにちは!
原爆投下について、投下した側の視点からどのように見えるのか、見ているのかという視点はとても興味深いものがありました。その一方で、投下された側がどのようにそれに反論していくのか、知っているようで知らないことが多々あることに愕然としました。ディベートはディベートなのであくまで冷静さが求められます。しかし、正直なところ私にはその場に立つ自信はないです。アメリカの高校生は他の話題でもこんな風にディベートを当たり前のこととして育つ土壌があるのだとしたら、そして、世界的にこういった土壌が標準なのだとしたら、日本も教育の見直しは必須なのかなと、そんなことも思った次第です。
できる限り幅広く色んな作品に触れていきたいと思っていますが、そんな中でもこの作品はとても新鮮で気づきの多い一冊でした。basilさんのレビューを読ませていただいて改めてそう感じました。
ありがとうございました。

basilさんのコメント
2022/07/19

さてさてさん、はじめまして!
いつも素敵なレビュー、楽しみに読ませていただいております。

この本は、読んでいる途中から、かなり動揺と言うか、心揺さぶられる部分が多く、いろいろ考えさせられました。
なるべく多くの人に読んで欲しい一冊ですよね!

さてさてさんの本棚は、私の知らない本を知るきっかけとなり、読んでみたい本がいっぱいです。
これからも参考にさせて頂きます♪
よろしくお願いします。

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