「踊り場」日本論 (犀の教室Liberal Arts Lab)

  • 晶文社 (2014年9月22日発売)
3.73
  • (2)
  • (13)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 78
感想 : 11
4

内田樹、平川克美、そして本書の小田嶋隆は、ここ数年の反グローバリズム、反新自由主義経済、反反知性主義(?)という路線で日本の政治・経済のあり方についてもの申している面々。どうも大企業や右派政治家には人気がないようだ。あたりまえか。

しかし最後に務めた外資系の広告代理店でグローバル企業のシビアさとカネの動き、そしてドライな人事を目の当たりし、最後は本国からの縮小命令で職を追われた身としては、やはりグローバリズムってのはどっかにいる強者がガッポリと持って行く仕組みに他ならないと思う。ていねいに人を育てたり、相手を思いやったりするようなものはおそらく排除される。だから彼らの説に共感するのです。たぶん、それまでは僕は「強者」のポジションに立つことを夢見ていた。そのために「弱者」が割りをくうのは仕方がないというか、考えないようにしていた。あるいは自分が充分に成功したら、弱者を救ってやればいいと〜トリクルダウンを起こせばいいのだと思っていた。

それは今のグローバリスト達の考え方そのものだ。
いま、弱者の側にいる自分が彼らの思想に共感してしまうのは都合のいい必然であると思うが、どこか彼らもひとの「弱さ」を知っていてそれを抱えて生きる方法を模索しているのだと思う。

穏やかに、声を荒げずに淡々と生きる。タオイズムのような中庸の思想。それはとても弱々しいけれど、そこに日本の未来を良きものにするヒントがあるような気がする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 対談
感想投稿日 : 2014年11月23日
読了日 : 2014年11月19日
本棚登録日 : 2014年11月23日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする