なぜあの商品は急に売れ出したのか: 口コミ感染の法則

  • 飛鳥新社 (2001年6月1日発売)
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●本書はどんな内容?

・誰しもが時間の着実な経過に沿って物事が進むと思いがちだが、実際は感染の臨界点(ティッピングポイント)を超えると爆発的に拡大する。ティッピングポイントを超えることは、キャズムを超えることと同義と考えて良いのでは無いか。

この原理を少数の影響者、すなわち、媒介者(コネクター)、情報通(メイヴン)、説得者(セールスマン)の人々の紹介を通して説明するのが本書。
言い換えれば、口コミ感染の仕組みを理論立てて説明しているのが本書。

・感染の臨界点の3法則は、少数者の法則、粘りの要素、背景の力。

●少数者の法則

・媒介者(コネクター)は、通常では考えられないほど「弱い絆」をたくさん持つ人々。彼らは人との良い結びつきを重要視して、新しい情報を掴んではいつも多数にそれを発信する。

・情報通(メイヴン)は、媒介者に新鮮で質の高い情報を伝える。

・情報通はデータバンク、媒介者は社会的にかわの役割となるが、人々が情報に納得しない時に説得する人が必要。これが第3の少数者、説得者(セールスマン)
説得者は同調のプロ。(無意識に)共感を与えるで賛同者を生み出す。

●粘りの要素

・少数者の法則は「情報の送り手」に注目したもの。情報自体も価値のある内容である必要がある。これを説明するのが「粘りの要素」

・セサミストリートでパペットと人間が現実世界に同居するようになったのは試行錯誤の末に粘りをもたせるためにたどり着いた結論

・「粘り」の章は具体例ばかりで一貫したメッセージが分かりづらいが、個人的には、要は、ターゲットに響く内容を定量的、定性的な観点から考えに考え抜け、ということだと理解した。

●背景の力

・NYの地下鉄の落書きと無賃乗車の撲滅
 =割れた窓理論に基づく。つまり、感染現象は、環境要因に些細な手を加えることで逆転が可能、ということ。

・看守と囚人に分けての監獄実験や、カンニング可能な環境でのカンニング率などが、この法則をサポートする。生育環境やその時の心理状態が重要でないわけではないが、背景も大きな影響を与えていて、これらが組み合わさった時に犯罪は起こるし、爆発的な感染拡大(商品が飛ぶように売れたり)も発生する。

・生育環境やその時の心理状態、さらに言えば遺伝子に、事象の原因を求めるのは受け身以外の何物でもない。

●150の法則
150人を超えたコミュニティは機能低下する。どこに行けば一番良い助言が得られるか感覚で分かるサイズ。

●エアウォーク社の商品感染戦略
これまで学んだことをすべて生かして、エアウォークの成功を紐解く。
→導入者(イノベーター)の言葉を主流派にむけて翻訳して布教する。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年8月17日
読了日 : 2020年8月19日
本棚登録日 : 2020年8月5日

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