はてしない物語

  • 岩波書店 (1982年1月1日発売)
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本棚登録 : 11751
感想 : 1026
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「本には何かしらの教訓があるから」と言わんばかりに小中高では読書感想文を求められた。
もし本書のそれを書くよう言われたら、きっと当時の自分は一生かかってもテーマについて考えたがるだろうし、気持ちが湧き上がっても共有せず大切にしまっておきたがると思う。

児童書・ジュニア書の類で見ていたけど、一気読みができず立ち止まってばかりいた。
「自分がしたいことをどんどんやる!」という標榜は一見夢のようで私も憧れる。でもそれらはがむしゃらに実現していけば良いってもんなんかな。

「自分には何もない」と自信喪失していた主人公が数ある望みを叶えていくにつれて空虚な存在に近づいていくのが妙に現実味あって心底ゾッとした。
より不完全な自分を忘れ去り、全速前進したくなる心境は痛いほどよく分かるし何度も味わってきた。

望みを叶えようと躍起になることで、知らず知らずのうちに自分のバックグラウンドさえも忘れたり無かったことにしていたのでは?と作者は問いかける。

教訓と思しき教訓は拾えた気がするけど、望みを叶えることよりもいかなる時もあるがままの自分を愛し抜くことの方が一生かかっても難しい課題かもしれないと今の自分は思っている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月21日
読了日 : 2021年10月21日
本棚登録日 : 2021年10月21日

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コメント 2件

akikobbさんのコメント
2024/09/18

こんばんは。ブックリストから来ました。
(オールタイムベスト、選ぶの楽しいけれど大変そう……!厳選お疲れ様でした!)
「はてしない物語」、子供の頃親にあてがわれて読みました。冒頭はとてもワクワクしたのですが話が進むと難しくなって、その難解だった印象が強くて再読できずにいました。でもahddamsさんのレビューを読んで、「あ、そういう話だったのか、それなら今読んでみたい」と思いました。
装丁がめちゃめちゃ素敵ですよね。よくわからなかった苦手な本でありながらも、ブツとして素敵すぎて、実家から持ってきて今も家にあるんです。ある意味因縁の一冊…(笑)

ahddamsさんのコメント
2024/09/19

akikobbさん、おはようございます!
ありがとうございます♪厳選には大変難儀しました(^^;;
『はてしない物語』は私も何度か断念しており、その間のどこかで映画版を鑑賞していました。akikobbさんが感じられたように、幼少期に原作を読んでもきっとピンと来なかったと思います。
映画版(『ネバーエンディング・ストーリー』)は本書の前半部分までの話で、後半部分を知った時はあまりのトーンの違いに戸惑ったのをよく覚えています…!それでも忘れることのできな自分にとっての大切な構成要素となりました。
是非ともリベンジを果たしていただけると幸いです(*^^*)♪

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