夢を与える

著者 :
  • 河出書房新社 (2007年2月8日発売)
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本棚登録 : 2603
感想 : 516
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図書館にて借りました。
これは名作!綿矢作品の中で一番好きです。
「インストール」や「蹴りたい背中」はいまいちパンチが私的にはなく、あっさり読んでおしまいと云うパターンだったのですがこれは面白い。

単純に云うと、ひとりの女の子の成功からの転落ストーリー。
知らないうちに入ってた芸能界。
それを望んでいたのかいなかったのか、本当のところ夕子にも解らなかったと思う。
だって、気づいたらいたんだもん。

特に世界は少し違うな~と思ったのは、「高校合格」がニュースになること。
夕子本人も作中で云ってたけど、本当にそう思う。
浅田真央選手とかもニュースになるもんな~。

そして今はどうか解らないけど、学生生活って芸能人の方が大切だと思う。
それを夕子は忙しすぎて、出来なかったから、後の「プライベート映像ネット流出」に発展したんだと思う。

「恋して、恋されて。愛して、愛される」

「夢を与える人になりたい」
夕子は云った。
そして気づく、「夢を与える側は夢を見ちゃいけない」

でも、私は違うと思う。
ただ、当たり前が出来なくなるほど忙しすぎたから免疫がなくて、その折り合いをつけるにはまだ、幼すぎただけ。

「大人になるまえに、大人に仕立てられた女の子」

自分の子供の芸能界入りは本当に「親」が鍵だとしみじみ思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 綿矢りさ
感想投稿日 : 2013年10月15日
読了日 : 2008年2月10日
本棚登録日 : 2013年10月15日

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