林芙美子・宮本百合子 (講談社文芸文庫 ひF 2)

著者 :
  • 講談社 (2003年10月1日発売)
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本棚登録 : 19
感想 : 2
4

平林たい子の最期の力作といわれている。
苦境の時代を共有した友人の伝記だ。
林芙美子も宮本百合子も平林たい子もというか、このあたりの女性作家の小説とは縁がなかった。むしろ、なぜか避けて来たような気がする。
高校時代に読んだ微かな記憶はあるのだが、その読後感がよくなかったのかもしれない。
今回は林芙美子のことを調べる必要に迫られて本書を読んだわけで、だから、林芙美子の小説はもう食傷気味。だが、平林たい子のしっかりとした目線と気品のある文章に何作か読んでみようかと思わされた。
また、たい子の捕らえた宮本百合子も一度はきちんと読まなければならないのかもしれない。
友人としての私情を押さえた、けれど押さえ切れない何かかが行間から感じられるだけに資料以上の文学に近いものを感じた一冊だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人物伝系
感想投稿日 : 2012年12月23日
読了日 : 2012年9月17日
本棚登録日 : 2012年9月16日

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コメント 1件

akigasumiさんのコメント
2012/09/17

平林たい子の著作とは初めての出会いです。これも芙美子さんのおかげ。
よく知る友人の評伝だけに生々しいけれど抑制が効いていてそれでいて本音が息づかいのように伝わってきました。
林芙美子も宮本百合子もなぜか読む気がしないまま過ごしてきましたが、芙美子の主立った作品を読んだ今は宮本百合子も、せめて「伸子」くらいは読まなければとたい子さんに叱られているような気がします。

なによりプロレタリア作家の流れや共産党についての知識が少しは得られました。特に百合子の方は作者の最後の作品だとかで「やはり彼女は、プロレタリア作家の中にはまりこむべきではなかったと思う」の一節が印象的。
百合子は共産党、たい子は社会党。そして芙美子は無思想だと陰口を言われていました。
たい子と百合子の本を読まなければと思いました。

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