象の背中

著者 :
  • 産経新聞出版 (2006年4月1日発売)
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感想 : 67
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今のテレビ界を揺るがすようなAKB人気。
その仕掛け人でありAKB生みの親、秋元康さんの作品だ。

末期がんで、あと半年の命と宣告された49歳のサラリーマン幸弘。
半年の間に何ができるのか。大学生の息子と高校生の娘と優しい妻、そして妻とは正反対の性格で彼を支える愛人。周りの人々にも恵まれた男の人生だった。彼は、あえて延命治療ものぞまず、ありがままに生きようと決心する。
まず会いたい人に会おうと、初恋の人、ケンカ別れをした親友に会いにいく。もう思い残すことはないかと考えていたら、昔若気のいたりで過ちをした女性から連絡が入り、秘密にしていた幸弘の娘が結婚するという話を聞く。幸弘は、俺にそんな娘がいたの?と驚きながらも、思い残すことのないよう、その子と対面を果たす。
そして、妻と愛人とも会わせ、子どもたちにも真実をうちあけ、自分と関わりあった親族に見守られながら最期のときに備えていた・・・

余命あと何カ月と言われたら、自分なら何をするだろう。
残された短い期間で何ができるのだろう。
この作品は常にそれを問うていた。

作者が秋元さんで、意外といえば意外な感じだったが。
でも愛人と妻を惹き合わせたり、両方とも愛している、なんて、男性の都合のいいように書かれているなあとふと思った。
これが宣告された男性の本心なのだろうか。
まあ、悔いを残さないようにしたい、という意味ならわかるが、やはり、残される妻や愛人にはお互いに少々苦痛だと思う。

余命宣告された男性の手記・・・
ストーリー的には、読んでいて切なくなる作品だった。

余談だが、私には、主人公の高校生の娘が、AKBキャラに思えて仕方がない。秋元さんのイメージが強すぎるせいだろうか・・・。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年5月3日
読了日 : 2013年5月3日
本棚登録日 : 2013年5月3日

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