自転しながら公転する

著者 :
  • 新潮社 (2020年9月28日発売)
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山本文緒さんの渾身の一冊タイトルがピンとこなくって訃報を知ってからも厚みのある本でずっしり重いし触手が伸びなかったんですけどようやく機会が巡ってきました。

東京のアパレルブランドで働いていた都は32歳、母親の介護のため仕事を辞め、実家近くのアウトレットモールのアパレルで契約社員をはじめた。近くに牛久大仏があるようでその大きさは手のひらに奈良の大仏が乗ってしまうとゆうから尋常じゃないですね。
プロローグでいきなりホーチミンで結婚式って先入観埋め込まれてしまったので、出会うベトナム人には警戒しつつ読み進めていったのでした。
それにしても都は、まわりに振り回されて隙だらけに見えてしまうし、自分に降りかかる痛みに対して鈍感なところがパワハラやセクハラを呼んでいる感じがしました。同僚で年下の正社員だった子のほうがSNSで愚痴って言いたいこと言って上手に毒を吐いてバランス保ってたようで清々しかったなぁ。まだ20代なら売手市場だし強気でいけるんでしょうね。
一方、都の八方美人ぶりは優柔不断で利用されやすい体質だしブレてるのは年齢からくる焦りや不安なんでしょうね。それがなければ寛一とか袖にしてたと思うんですけど。「金色夜叉」の寛一お宮は熱海の海岸で「来年の今月今夜のこの月を僕の涙で曇らせてみせる」って寛一が有名な捨て台詞吐いて別れるんですよね。毎年1月17日は失恋記念日で涙で月を雲らすとか未練がましく言ってたけど阪神淡路大震災の日じゃないですかぁって、月を曇らすより凄いことおこってるじゃないですかぁ。

さておき、こちらの寛一は自転しながら公転するとか、それでいて同じ場所には戻れずに進んでいくとか太陽系の雄大な神秘を語りだすとかで、ロマンス神をも動かしてしまったようです。

無職で中卒の寛一と家庭を持つとか無理ありそうだし、いけ好かないセクハラ上司もNGだし、年下の金持ちベトナム人とかどうなんだろう無茶遊ばれてる感じなんだけど。
星のくずほどいそうに思える男子もいざ出会うとなると地球に巨大隕石が堕ちるほどの確立に思える偶然さで、それを思うと卓球部時代の幼馴染はいい彼氏捕まえた感じで羨ましかったり・・・
一人で生きていくって選択肢もあるんだから型にはめて考える必要もないと思うんだけど生き抜くい世の中なんですよね。
で、どんな選択をしたかとゆうところは気を揉むのですが・・・。
特に女子は配偶者や家族によって生き方に影響されること大きいと思うんですが、そろそろ見つけ出してほしいんですよね。いろんな重力に捕らえられて脱出できなくなる前に、スイングバイで軌道制御してバイバイって冒険者みたいに未知の世界に到達できる方法なんかを。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 図書館
感想投稿日 : 2024年3月8日
読了日 : 2024年3月8日
本棚登録日 : 2024年3月8日

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コメント 2件

ゆーき本さんのコメント
2024/03/08

星のくずほどいる男子⟡.·笑
最初から当たりの男子と出会えればいいのになー。それじゃ人生つまんないか?

牛久大仏のデカさは近くで見ると恐怖だよ

つくねさんのコメント
2024/03/08

星くずの王子様に出会う確率は100連ガチャしてもでてこないかも(^з^)-☆

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