三陸海岸大津波 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2004年3月12日発売)
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感想 : 291
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震災後に話題になった。
「吉村昭氏に先見の明があった」とも言われるが、決して警鐘を鳴らすために書いたわけではない。
三陸海岸が好きだった筆者が、一旅行者として、一つの「地方史として残しておきたくなって」書いたのだ。

結果的には、これを読んだことで救われた命があったし、読まなかったから失った命もあろう。
自身も今読むと、そうだよなあ、納得できるけど、3.11前に読んだらどう感じたろうか。
4度の津波を経験した早野幸太郎氏の「津波は必ず今後も襲ってくる。しかし、今の人たちはいろいろな方法で十分警戒しているから、死ぬ人はめったにいないと思う」という言葉が虚しく響く。

結びは「私は、津波の歴史を知ったことによって一層三陸海岸に対する愛着を深めている。屹立した断崖、点在する人家の集落、それらは度重なる津波の激浪に耐えて毅然とした姿で海と対している。そしてさらに、私はその海岸で津波と戦いながら生きてきた人々を見るのだ」
とある。
三陸の人々はこれからも海と戦って生きていくのだろうか、それとも海から離れて生きるのだろうか
今の姿を見て吉村氏はどう思うだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年6月16日
読了日 : 2013年6月16日
本棚登録日 : 2013年6月16日

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