しぶちん (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1965年4月10日発売)
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本棚登録 : 324
感想 : 23
4

長編作家、山崎豊子氏による短編集。長編はずっしりと重いテーマの作品が多いが、短編はどんな小説になるか、興味深かった。収録されている5編はどれも昭和33年ごろに書かれ、文藝春秋などに掲載されたもの。
短編はすべて大阪が舞台となっている。関西出身でないと書けないであろうという、かなりディープな大阪弁で語られている。『船場狂い』では、船場という戦前栄えた商家が並ぶ地域の慣わしなど、面白かった。また、『遺留品』には、二十年後に彼女が手掛けることになる大作『沈まぬ太陽』を予想させる箇所があり、驚いた。読後、ほのぼのと感じる人もいるだろうが、私は強烈に胸が痛んだ。
どの作品も、読み始めると先が気になって本を置けなくなる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年9月14日
読了日 : 2016年9月14日
本棚登録日 : 2016年9月14日

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