一人暮らしの中年男性(著者)が、マンションのベランダで様々な植物を育てるエッセイ。たまたまもらった鉢植えがきっかけとなり、あらゆる種類の植物を買ってきては丁寧に世話をし、花が咲くのを心待ちにしながら観察をし、時には枯らしてしまって落ち込み、という日々を描いたもの。著者の植物に対する愛情が心を打つ。
マンションはもともと世田谷にあったが、途中で浅草に引っ越すことになる。新しい住居はもちろん植物の都合優先で決まった。何より季節ごとの風向きやら水やりやら肥料やら、日当たりを最大限利用できるよう狭いスペースに鉢を配置し、日々変化を観察するのだ。その様子で一喜一憂する様子はほほえましい。後半はもらって飼育を始めたメダカのことも書かれている。植物の世話によって、自然の営みを理解し、哲学的な思考まで浮かんでくるようだ。
この本を読んだら、アマリリスの球根を買いたくなった。が、調べたら思いのほか高かった。私も家にある鉢植え(今のところ代わり映えないが)を大切にして、様子を観察してみようと思う。とてもいい本だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年12月11日
- 読了日 : 2019年12月11日
- 本棚登録日 : 2019年12月11日
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