名作★5 悩める中学生達が、手を取り合って明るい未来を目指すファンタジーミステリー #かがみの孤城
■あらすじ
中学生である主人公こころは、学校の友人関係が原因で不登校に陥っていた。自宅に引きこもっていたある日、自室の大きな鏡から、光が放たれているのに気がつく。不思議に思い手を差し伸べてみると、そこには幻想的な世界が広がっており…
■きっと読みたくなるレビュー
面白い★5
超有名作なんですが実は積読してたんですよね。2022年12月23日から映画も公開されますし、年内に読んじゃおうと手に取った次第。
とにかくバランスが抜群で、ファンタジー小説として完成してます。できあがり商品。
構成、登場人物、世界観、扱うテーマ、心情描写、読みやすい文章、エンタメ具合、ミステリー要素などなど、もう全部完璧です。何も言うことがなく、未読で時間があるなら何も考えずに読もうよ、という作品。
特に中学生くらいであれば全然よめる文章なので、ぜひお子様にも楽しんで欲しいですね。
本作、登場人物が親近感があるキャラクターばかりで大好き。
私の中学生時代を思い出してみても、こんな奴いたかもな~と思い出しちゃう。
最も愛着があるのは、主人公こころ。
辛辣なシーンと不安描写を重ねて表現するのがお上手で、思春期の不安定な感情をよく描けてます。当事者じゃないと分からない「伝えたいけど言えない苦しみ」が、読み手の胸につき刺さってきました。
そして一番素敵なのは、やっぱり友人たちとの絆。
手を取り合って課題を解決していく姿、友人を助けるために団結する姿は、中学生を息子にもつ私にとっては号泣ですよ。はうう…
また本作は、舞台設定がめっちゃ綺麗なんです。
タイトルとおり「かがみの孤城」があまりにも素敵すぎて、もう住みたい!2年くらい住みたい!
私なら部屋にこもって本読んで、気が向いたら友達とお菓子を食べながら他愛もない話に花を咲かせたいですね~ あ、ゲームもいいな。何も考えず、友達とキャッキャ騒いでたいです。
しかしそんな自由な「かがみの孤城」ですが、どこか無機質、そして怖い設定… 読ませる仕掛けがプロの技でした。
そしてお得意のミステリー要素も効いていて、メイントリックから細かなところまで、伏線と仕掛けでいっぱいです。それほど深い謎ではなく概ね予想はつくのですが、綺麗に物語全体を包んでいて、こちらもバッチシ完璧ですね。
総じて誰しも楽しく読める、おすすめできるファンタジーミステリーでした。
■わたしの推しポイント
神楽坂に私がお気に入りにしているBarがあります。裏路地にひっそりと佇んでいて、正直お客さんも多くなく落ち着ける隠れ家的なお店です。
気のいいバーテンダーのお兄さんや、なんとなく顔見知りのお客さん、まったく初見のお客さんたちととりとめもない会話をしながら、素敵なほろ酔い時間を過ごしています。
いつもくだらない話ばかりですが、そこは会社の同僚、友人、家族には相談できないようなマジ悩みも吐露できる場所なんです。解決はしなくとも、深い関係性がないからこそ気兼ねなく、どんなしんどい相談でもできるんですよね。
そこはまさに私にとっての「かがみの孤城」
誰しも、どの世代も、君もあなたも現実は課題がいっぱいで「毎日、闘っている」。でも自分にとって幻想的な優しい空気に包まれた逃げ場所があると、明日からも頑張ろうと、きっかけと勇気をもらえるんですよね。
もし人生に行き詰ってしまっている人がいたら、自分にとっての「かがみの孤城」を見つけると、ふっと気分が楽になるでしょう。
- 感想投稿日 : 2022年12月22日
- 読了日 : 2022年12月21日
- 本棚登録日 : 2022年12月21日
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