ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2012年4月13日発売)
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同年代の女の子たちの間にある、『私の方があの子よりはまし』という暗い感情、マウンティングがとてもリアルで身につまされた。口では相手を褒めて自分なんて…と言いながらも、常に自分の位置を確認せずにはいられないあの感情はなんなのだろう。
競うものが自分の仕事や学歴、容姿なんかであるならまだわかるけど、年を重ねるうちにそれは彼氏の容姿や仕事、自分がいかに大切にされているかであったり、結婚相手となれば職業や年収、住んでいる土地や家のランク、子どもができればその子どもの成績や運動神経、性格までがマウンティングの指標となる。女同士の比べ合いには終わりがない。

その中でいつも自分は下層にいると感じていたチエミ。彼女には自分がなくて、そんな自分を変えるすべを知らなくて、周りの人が全て自分より上手くいっていると思っていたのだろうなぁ。
そういう気持ち、本当によくわかる。
わかるからとっても切ないお話だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月5日
読了日 : 2023年10月5日
本棚登録日 : 2023年9月25日

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