エウロペアナ: 二〇世紀史概説 (エクス・リブリス)

  • 白水社 (2014年8月21日発売)
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感想 : 37
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66章からなる構成がおもしろい。通常の歴史の本とは違った斬新なもので、脳に入ってくる理解も違う。第1次、第2次世界大戦の部分と、その間の狂乱の文化の表現はストンと落ちてくる。チェコの人らしい?皮肉まじりのユーモアも楽しい。

1938年に菜膣ドイツによるオーストリア併合があった日(3/12)に読み終えた。ロシアのウクライナ侵攻のニュースが進行中だ。近代以降のヨーロッパで起きたことは、人類全体にも影響を与えてきた。BBCを見ていてもヨーロッパ全体がとても深刻にとらえているかが伝わってくる。著者がいま起きていることをどう論じるか聴いてみたくなった。

P132-133に出てくる部分が印象的だ。終わりの方にこの箇所をもってきた著者の思惑は推し量るしかないが、私には総括に見えた。
・ある哲学者 世界秩序は言説のメカニズムに対応している。記号そのものは元来意味の担い手であるが、私たちにはそれがどのような意味なのかはわからないという。

・別の哲学者 言説と世界を構成する記号には意味が欠落しており、意味の不在によって主体も実態も失われ、歴史はただ連続する携帯のない動きにすぎなくなり、もはや何かを表明することもなく、すべてはフィクションで、シミュレーションであるという。さらに、人文主義が衰退したのはある意味で論理的なことだという。

ある数学者 現実とは幻想にすぎず、実際にあるの人間の数学的構築物でしかなく、脳は他の次元からの周波数を解釈するのだが、それは空間と時間を超越するのであり、脳は宇宙を描き出すホログラムであるが、宇宙もまたホログラムなのだという。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2022年3月13日
読了日 : 2022年3月12日
本棚登録日 : 2022年2月27日

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