新しい世界を生きるための14のSF

  • 早川書房 (2022年6月22日発売)
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本棚登録 : 571
感想 : 29
3

文庫本の800ページ…。久しぶりに一冊で3日目突入してしまいました。SF好きな人や、これから読んだり書いたりしたい人には、同じ系統の過去作品のこれでもか!っていう量の解説ついてるので、超おすすめなんだけど、ちょっと読みにくい作品の方が多かったように感じます。
◆作品として好きだったのは、
・斜線堂有紀「回樹」
百合とファンタジーの融合。人体吸収する樹。
これは、SFっていうより、拗れ愛小説。
・芹沢央「九月某日の誓い」
超能力のある世界で、科学者である父の自殺により奉公することになり、その家のお嬢様の能力、そして意外な結末。
・琴柱遥「夜警」
夜に空から降る星の話。子どもが願うと叶うのだが、それには秘密があり…。少し宮沢賢治っぽい雰囲気が良かった。
◆作品ネタとしては面白かったけど、イマイチ入り込めなかったのは
・八島游舷「Final Anchors」
自家用車に搭載されたAI同士の一秒に満たない時間での会話や思考
・宮西建礼「もしもぼくらが生まれていたら」
小惑星が日本に落ちることが分かったことと、高校生の衛星構想コンテストと核のない未来
・夜来風音「大江戸しんぐらりてい」
実在の数学や天文の天才達を登場させ(安井算哲、関孝和など)柿本人麻呂の歌が実は数式だったというロジックで大演算機構が作られる江戸時代。
・佐伯真洋「青い瞳がきこえるうちは」
VR技術で仮想スポーツ大会が出来るような未来。卓球に才能のある兄弟の感情。一人は盲目、一人は寝てしまう病。
・坂永雄一「無脊椎動物の想像力と創造性について」
科学者飼育による蜘蛛生態改変で、蜘蛛に京都を乗っ取られる世界を描いている。この話は凄く面白くなりそうなのに、とても入り辛くてもったいない!と思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 図書室 ティーン
感想投稿日 : 2022年8月28日
読了日 : 2022年8月28日
本棚登録日 : 2022年8月28日

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