苦しみや哀しみはなぜある、と疑問に思い沈む時がある。
そんな時にこのギャリコ珠玉の短編を読んだ。
「スノーグース」はイギリスのエセックス、海岸。
「小さな奇蹟」はイタリア、アッシジ。
「ルドーミラ」はアルプスのリヒテンシュタイン公国。
さながら、旅行をしつつ美しい奇蹟に思い巡らしているよう。
妖精や魔女、ドラゴンや聖者を信じることが時代遅れでないことを知らせてくれる。
傷ついた動物への暖かい愛情。
表題作の「スノーグース」の書き出し文章の秀麗なこと。
翻訳でここまで!と思った。(矢川澄子訳である)
初めの2ぺーじばかりはうっとりしてしまう。
三編とも読み終わって実にさわやかな高揚感につつまれた。
宗派はなくとも、神さまは信じているから
「われらの命は汝が御手の中にあり」
は心に響く。
なにごとも祈ったのちはおまかせしよう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2005年
- 感想投稿日 : 2021年9月13日
- 読了日 : 2005年12月15日
- 本棚登録日 : 2021年9月13日
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