やっぱりこの小説はシュールレアリズム文学のようだ
ファンタジー文学でもないし
このごろは文学のジャンルが錯綜しているのだからなんでもあり
ゴシックロマン風なこの物語を文学の文学として楽しんだ
さてストーリー
時代は不明、ヴェネツィアみたいな風景の架空都市オルセンナ
家柄の良い青年が放蕩らしきものに飽き、辺境の砦に職を得てみる
そこは対岸が300年のもわたって戦争状態にある岸辺の城砦
けど、お互いに一歩を踏みださない休戦状態が300年
300年も平和なのだから死んだように静かな海辺
そこへ都市政治を牛耳っている上層部のスパイなるものか
観察将校として派遣されたのだ
勤めている兵士たちは仕事と言えば農家に派遣されて
牧畜、農業のアルバイトで賃金を得ている皮肉な状態
しかし、都市では権謀術数、暗躍の果て、戦争は恰好の話題
青年は都会に住む元恋人にそそのかされて
その平和で無風地帯に煙を立てるような役目を担ってしまう
何か(戦争)が起こりそうな緊張で物語は終わっている
これが書か1950年代だけれども
今の時代にもあてはめられる戦争の足音が
いつでもどこでも争いが
いつのときもあるという人間世界のサガ
寓意というにしてはちょっとリアルかなと思う
倉橋由美子さんの『偏愛文学館』に好きな文学と紹介してあり
興味を持って読んだ次第
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2016年
- 感想投稿日 : 2020年2月12日
- 読了日 : 2016年3月11日
- 本棚登録日 : 2020年2月12日
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