舞踏会へ向かう三人の農夫 下 (河出文庫 ハ 10-2)

  • 河出書房新社 (2018年7月5日発売)
4.00
  • (8)
  • (7)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 219
感想 : 15
2

ザンダーの写真集をめくってから再読したところ、本書の写真論の多くがザンダーの写真集の編纂者が解説に書いていることと重複しているのに気づいて、大変興醒めした。みんなが知っている識者や作家の文章は本文で引用したりエピグラフに使って「俺は読んだ」アピールをして、肝の部分は黙って人の書いたものを使っちゃったように見えた。原著ではきちんと参考文献に挙げたんだろうか。

また、一周目では女性の扱いの悪さに気分を悪くしていたのだけれど、今回読んでみたら性別問わず一方的に毟っていくスタイルだったことに気づいて呆れた。社会とか善とか大仰な話をする前に、半径5メートル以内の人間にまともな敬意を払ってほしい。話はそれができるようになってから聞きます、という気持ち。

最後に。当人の思索と第三者の文献の引用をきちんとわけて、順序立てて書いてくれたらまだなんとかなったかも。思想の周りにくっつけられた人間ドラマへの視線が浅くて貧しくて、読んでいられなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 英米 - 小説/物語
感想投稿日 : 2018年8月25日
読了日 : 2018年8月25日
本棚登録日 : 2018年8月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする