『レクイエム』スタイルの、いるのかいないのかよくわからない人物たちが主人公と対話する中編。タブッキがペソアを愛しているのはよくわかった、だって来るのがあの人たちだから(ネタバレになるのかよくわからないので自重)。こんなの書いちゃうの俺だけでしょ?という得意そうな顔さえ浮かぶ、タブッキ個人の思い入れを感じる本だった。そして死にそうなときに人に会う、という状況について考えてちょっとぼんやりしてしまった。
死にそうなこちらが伝えたいことを伝えたほうがいいのか、向こうが話したいことを話させてあげたらいいのか。まあこっちは死ぬのでどっちでもいいといえばよくて、わざわざ死にかけに会いに来てくれた相手を満足させてあげればよいのかもしれない。「気が済むようにする/してあげる」ということにはどれほど意味があるのだろう。そして当分死にそうにない今でさえ、この問いについて考えようとするとぼんやりしてしまうのだった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
イタリア - 小説/物語
- 感想投稿日 : 2020年6月19日
- 読了日 : 2020年6月19日
- 本棚登録日 : 2020年6月19日
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